最先端の造船技術で
次世代のタグボートを建造する。

京浜ドックは1971年より新造船の建造に乗り出し、これまでに500トン未満のタグボートや一般貨物船、客船、タンカー、作業船の建造を手がけてきました。新造船の建造は、仕上げ工場などを有する横須賀市追浜工場にて、近年は主としてタグボートを専門的に建造しております。
タグボートの建造はCADでの設計から手がけています。1個1個のパーツの形を設計して鉄板の状態から各パーツを形成、パーツを組み立てて搭載し、電気系統などを接続して海に浮かべ試運転へ。その間およそ3~4か月。船舶の誕生と航海の無事を祈願する「進水式」では、船主さんをはじめタグボートの建造にかかわったスタッフ全員が喜びを分かち合います。

昨今は世界的にCO2削減が課題となり、船舶業界でも石油・石炭からその他のエネルギーへのシフトが課題となっています。当社ではこれに先駆け、2013年にハイブリッドエンジン搭載のタグボートを建造しました。さらに2015年にはLNG燃料のタグボートを建造。ともに業界初の試みとなり、タグボート業界の注目を集めています。

新しいタグボートが
できるまで

タグボートができあがる工程をご紹介します。

設計(基本設計、詳細設計、生産設計)

船体、配管、機関室、他各所の詳細な設計図を作成します。

設計(基本設計、詳細設計、生産設計)
設計(基本設計、詳細設計、生産設計)
船殻(小組、中組、大組)

鋼材をNC切断機で切断、ぎょう鉄(曲げ加工)し、各種パーツを作成。それらを溶接で繋ぎ、船体ブロックを作成、船台に搭載していきます。

船殻(小組、中組、大組)
船殻(小組、中組、大組)
各種搭載(マスト、上部構造、Zペラ、甲板機、エンジンなど)

船尾ブロックを搭載後、Zペラ、エンジン、各種機器・装置が搭載され、船首ブロックを搭載し船体を形成。さらにハウスブロック、マストを搭載し仕上げていきます。

各種搭載(マスト、上部構造、Zペラ、甲板機、エンジンなど)
各種搭載(マスト、上部構造、Zペラ、甲板機、エンジンなど)
各種搭載(マスト、上部構造、Zペラ、甲板機、エンジンなど)
各種搭載(マスト、上部構造、Zペラ、甲板機、エンジンなど)
各種搭載(マスト、上部構造、Zペラ、甲板機、エンジンなど)
各種搭載(マスト、上部構造、Zペラ、甲板機、エンジンなど)
各種搭載(マスト、上部構造、Zペラ、甲板機、エンジンなど)
各種搭載(マスト、上部構造、Zペラ、甲板機、エンジンなど)
船体塗装

船体すべてに防錆の下地を施し、船底には防汚塗装(徐々に剥がれることでカキやフジツボの付着を防ぎ航行性能を保つ)、甲板には防滑塗装、マストには各社のカラーが塗装されます。

船体塗装
船体塗装
進水

タグボートを初めて海に浮かべます。その後、岸壁でウィンドラス、制御機器など、各種艤装(ぎそう)工事が行われます。

進水
進水
海上運転

本船が完成。海上で試運転を行い、設計通りの性能が発揮できるかを確認します。更にタグボートの要、曳航力試験を行います。

海上運転
海上運転
引き渡し

最後に国土交通省の船舶試験に合格すると、晴れて竣工・引き渡しとなります。そして大海原へと出発します。

引き渡し
引き渡し
船が初めて海に浮かぶ「進水式」
タグボート

船舶の門出となる大切な進水式。船の誕生を祝うとともに、今後の航海の安全を祈る式典です。京浜ドックでも新しいタグボートの完成時は進水式を執り行っています。

進水式は神主による安全祈願のあと、船主さんが斧でシャンパンとタグボートにつながれた綱を切る「支綱切断」を行います。ブラスバンドの演奏とくす玉が割れる中、お客様や現場の職人達に見守られながら、タグボートはゆっくりと船台を下り海面に浮かびます。

船が初めて海に浮かぶ「進水式」
2種の次世代のタグボートを建造
タグボート
環境配慮型タグボート「翼」

エンジンとバッテリーを併用するハイブリットエンジンを搭載したタグボート。ハイブリットエンジン車と同様に、モーターで起動してエンジンに切り替わります。タグボートではまだ1隻のみ。
※「マリン・エンジニアリング・オブ・ザ・イヤー2013」受賞(公益社団法人日本マリンエンジニアリング学会)

環境配慮型タグボート「翼」
用途 曳き舟
全長 37.2m
総トン数 256トン
主機関 ニイガタ6L28HX 2基
馬力 4,400PS(主機関、モーター合計)
船主 ㈱新日本海洋社殿(平成25年3月竣工)
速力 15.0ノット
備考 わが国初のハイブリッド推進システム搭載
環境配慮型タグボート
LNGタグボート「魁」

環境にやさしいLNGを燃料に使用したタグボート。従来のA重油に比べて二酸化炭素の排出を約30%、窒素酸化物の排出を80%、硫黄の排出を約100%削減することができます。
※「シップ・オブ・ザ・イヤー2015年」技術特別賞受賞

LNGタグボート「魁」
用途 曳き舟
全長 37.2m
総トン数 272トン
主機関 ニイガタ6L28AHX-DF 2基
馬力 4,400PS
船主 日本郵船㈱殿(平成27年8月竣工)
速力 14.0ノット
備考 わが国初のLNG燃料船